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自分の趣味について書き散らかす雑記ブログ。

単行本と文庫本の話

本日増田でこんな話が話題になっていた。

「単行本と文庫本の関係は特急と普通電車の関係」というアナロジー
なぜ最初から文庫本で出さないのか?

最初の電車の例えはちょっと論点がずれていやしないか?と思ったわけだが、それに続く業界の中の人の話はまぁそうなんだろうなぁ…と納得せざるをえない内容だった。とはいえ、ですよ。

Q.3000円の文庫本じゃだめなの?

A.読者の皆さんは3000円の文庫は買ってくれないです。読書体験は文庫でも四六判でも(内容という意味で)大差はありませんが、物質商品としては購入してもらえなくなります。出版人として自分が関わった3000円の本がソーシャルゲームのガチャ6回に劣るとは思っていませんが、やはり売れない物は売れません。

業界の中の人がこう言ってるんだから事実なんだろうし、自分だって文庫本が3000円もしたら、どれだけ好きな作家の、どれだけ評判の良い本でも買い控えちゃうなぁとは思うんだけど…。そう思ってしまうのは、文庫本が安すぎるからじゃないのかなぁとも。このブコメが個人的にも一番実感が近い。

ここ数年、本を読む量が増えた自分としては、

  • 単行本が高いのは仕方ないし、どうしても読みたい本だったら単行本で買うことも厭わない。
  • ただし、ハードカバー本、お前はダメだ。読みにくい上、保管するにも場所取るし。
  • 文庫本がとても安いというのは素晴らしいことだと思うし、読書人口を広げるには重要なんだろうけど、単行本と文庫本の価格差が大きすぎるのはあまり健全ではないと思う。
  • 文庫本が、単行本の廉価版であると同時に改訂版でもある現状、文庫本のほうがコンテンツに対するクオリティが高いってのが、価格設定と相反するような…。
  • そもそも単行本であれ文庫本であれ、紙の本には価値を感じなくなっているんだよね。

なんてことを思ったりする。

中の人が言ってるように、売れっ子作家よりもそうでない作家のほうが多いわけだし、初回出荷物でしっかり売上を立てないことには商売成り立たないし、そのせいで単行本で稼がないといけないのは業界の構造上避けようがないんだろう。でもなー、どうしてももやもやしてしまう。

さらに言うと、ようやく電子書籍が一般的になってきたのに、単行本が電子書籍にならないケースが多いもの残念だ*1。最近になって、電子書籍が紙の本と値段が変わらなくても、それでも電子書籍を選ぶだけの価値はある!と思うようになったのに、選択肢としてその電子書籍版がいつまでたっても発売されないことには悲しみを感じる。当然、電子書籍化するためにはそれ相応の時間とコストもかかるわけだし、発生するコストを回収する目処が立たないものに投資することができない事情も理解できるんだけども。

なんてことをつらつら考えても、結局自分にできることは、好きな本に対してしっかりお金を落としていくことだけなんだよね。好きなことに対してケチにならないのが自分の数少ない美点の一つだと思っているけど、どうせならストレスを感じずにお金を使いたいじゃない、やっぱり。

個人的には、単行本発売から1ヶ月以内に、単行本から1割引き程度の値付けで電子書籍版が発売されれば、読みたい本だったら少々高くてもお金を出すんだけどな。そういう人ってまだまだ少数派なのかしらん…。

そうそう、ブコメ

森博嗣氏も「文庫を最初に出して売れたらグッズとして解説やDVD付きの単行本を出せばよい。読者が、解説や手直しが為されてコンテンツが最も充実し尚且つ廉価な文庫版が出るのを待つようになるのは当然」と言っていた

とあって、さすが森先生、まさにそのとおりですよ!と思ったわけだが…。なのになんで先生の「ヴォイド・シェイパ」シリーズは文庫化されるまで2年も待たされるんですかね!?いや、文庫版ってそういうものだし仕方ないのだけど、せめて電子書籍版だけでもすぐに出してほしいんですよ、ファンとしては。なのに電子書籍化にも1年待たされたあげく、お値段はそれほど変わらずってどういうことなんですかね…。

って、アフィリエイトリンクはろうとして気づいたけど、今年5月にKindleで購入したフォグ・ハイダ、俺が購入した時は1400円くらいしたのに、いつの間にかだいぶ値下げされてるな。結局は待っただけ安くなっていくってことなのか…。

*1:出版社によってはそうでもないけど。去年、「鹿の王」が単行本と電子書籍版で同時発売されたのには感動したものだ。