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自分の趣味について書き散らかす雑記ブログ。

お気に入りのファンタジー小説、最新版

このブログのアクセスログを眺めていると、自分でも書いたことを忘れていた文章がときどき読まれていることに気づいたりする。例えばこのエントリー。

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自分のお気に入り海外ファンタジー小説の名前を挙げただけのエントリーなんだけど、かれこれ5年も前のことなので漏れているタイトルも多いし、国内のファンタジー小説にも良作が沢山あることも知ったしで、内容の古さを感じずにはいられない。なので、改めて今の自分にとってのお気に入りファンタジー小説をつらつら紹介してみたいと思った次第。

なお、主観に満ちたチョイスなので、人にオススメできるかどうかは微妙であることを前もってお伝えしておきます。

海外ファンタジー

まずは海外ファンタジーから。今でもちょくちょく新作の発掘を試みてるけど、面白くなってきたあたりで打ち切られたりすることもあるので、手を出すタイミングがなかなか難しかったりする。ただ、翻訳対象に選ばれたという時点で、面白さがそれなりに保証されているとも言えるので、はずれを引くことは少ない気がする。

氷と炎の歌

七王国の玉座〔改訂新版〕(上)(氷と炎の歌1)

七王国の玉座〔改訂新版〕(上)(氷と炎の歌1)

このシリーズについては、このブログで何度も触れているのでいまさら感もあるのだけどw
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ベルガリアード物語

予言の守護者 - ベルガリアード物語〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)

予言の守護者 - ベルガリアード物語〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)

エピック・ファンタジーでは、氷と炎の歌ベルガリアード物語が私の中での双璧です。5年間隔くらいで再読したくなるシリーズでもあります。登場キャラたちの魅力という点では、この物語に勝るファンタジーってあるかなぁ…?と思うくらい好きです。久々にベルガラスやポルガラ、ケルダーたちの丁々発止なやりとりでニヤリとしたくなってきたな…。ちょっと文庫本が厚めなので、ぜひとも電子書籍化してほしいシリーズでもある。

大聖堂

大聖堂の建築をめぐる、半世紀にわたる大叙事詩。実に骨太なファンタジーですな。実写ドラマとして映像化されたのも観たけど、これまたクオリティが高かったです。

道化の使命

黄金の狩人1 道化の使命 (創元推理文庫)

黄金の狩人1 道化の使命 (創元推理文庫)

つい先日読んだばかりで印象が強いってのもあるんだけど。前作にあたるファーシーアの一族も面白かったけれど、物語の深さとかキャラの魅力とか、続編である道化の使命シリーズのほうが個人的には好みです。
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妖女サイベルの呼び声

妖女サイベルの呼び声 (ハヤカワ文庫 FT 1)

妖女サイベルの呼び声 (ハヤカワ文庫 FT 1)

日頃お世話になっているハヤカワ文庫FTの記念すべき第1弾。今回取り上げた作品の中でも一番の古典作品ですね。それまで人間と接点のない生活を送っていた魔女が、ふとしたきっかけから人間と関わりを持ったことから愛憎という感情に苦しむことになって…というあらすじ自体は今でもよく目にするプロットだけれど、そこにまったく古臭さを感じない洗練さがありますね。名作。

エルフの血脈

エルフの血脈 (魔法剣士ゲラルト)

エルフの血脈 (魔法剣士ゲラルト)

今では原作小説よりもゲーム(「ウィッチャー」シリーズ)のほうが有名になってしまった感があるけど。日本では最初の1巻だけが翻訳されていて、続きも読みたい!と思わせられる面白さ。ハヤカワさん、私は今でも続きの翻訳を待ってますからね。

他にも、最近だとブラッド・ソングというシリーズが面白かったんだが…なんと第1部の途中で打ち切りの憂き目に*1。個人的には、ベルガリアード物語のような、キャラ同士の掛け合いが楽しい本をもっと読みたいな。

国内ファンタジー

続いて国内発のファンタジー。ここは上橋菜穂子氏の独壇場だと思っていたところ、つい先日読んだばかりの「図書館の魔女」がその牙城を崩しそうな勢い。

獣の奏者

獣の奏者 I闘蛇編 (講談社文庫)

獣の奏者 I闘蛇編 (講談社文庫)

とにかく好きです。特に最初の「闘蛇編」「王獣編」は完璧すぎて何も言えない。

鹿の王

獣の奏者」同様上橋女史による大作ファンタジー。ファンタジー世界で本格的に医療を考えるという組み合わせが新鮮だったこともあるけど、相変わらずのストーリーテリングもお見事で読み応えたっぷり。結末をどうもっていくかはたぶん作者も苦労したんだろうなぁ…という印象は残るけどな。

図書館の魔女

図書館の魔女 第一巻 (講談社文庫)

図書館の魔女 第一巻 (講談社文庫)

今、他の人から「面白いファンタジー小説を教えて!」と聞かれたら、おそらく真っ先にこの本を挙げます。とにかく強烈だったよ…。もうちょっと時間を置いて再読してから、改めてこの物語の魅力について考えたいなと思ってる。

夜の写本師

夜の写本師

夜の写本師

主人公による復讐もの、ではあるんだけど、そこに現在と過去が交錯するような構成も巧みに織り交ぜられて、ぐいぐい引き込まれる面白さだった。乾石智子氏の小説は夜の写本師しか読んでいないけれど、他の小説も評判が高いようなので、この後のお楽しみにしたい。

アラビアの夜の種族

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

スゴ本ブログのこのレビューに惹かれて読んでみたら、まさにレビュー通りの面白さだった。

陰謀と冒険と魔術と戦争と恋と情交と迷宮と血潮と邪教と食通と書痴と閉鎖空間とスタンド使いの話で、千夜一夜ハムナプトラウィザードリィとネバーエンティングストーリーを足して2乗したぐらいの面白さ。

という一文の中に、惹かれる要素が半分以上あればぜひとも読んでみるべき。

あとは、有名どころでは「十二国記」とかかな?以前1巻だけ手を出してみて、いまいちしっくり来なかったのでそこから読んでいないのだけど、そこから面白くなるとのことなので、いずれ読んでみようとは思ってる。Kindle化されたらすぐにでも手を出すんだけどなぁ…。

ライトノベルライト文芸

最後にラノベからも。これまでに挙げてきた小説と比べると重厚さに欠ける面はあるけれど、逆にその世界観に気軽に入り込めるという利点もあるし、読み始めてみるとその面白さには大差なかったりもする*2。一口にラノベと言っても物語の内容は千差万別で、寓話的なものもあればゲームっぽいものもあるし、本格的なものもあればコミカルなものもあったりで、自分にとっても当たりを見つけることができれば意外な金鉱が眠ってたりするんだよね。

ロードス島戦記

はじめて読んだのは中学生になるかどうかって頃*3で、それはもうどっぷりハマりましたとさ。その後発売されたカードゲームやMSX版のゲームも遊んだっけなぁ…。当時はラノベなんて表現はなかったし、2000年以降になってラノベというジャンルが一般的になっても、ロードス島戦記のことをラノベだと思ったことはなかったのだけれど、今ではやっぱりファンタジーラノベの走りってことになるのかな。思い出補正がかかってるかも?と思って数年前に灰色の魔女~ロードスの聖騎士まで再読してところそれでも楽しめたので、ファンタジー小説としても本物なんだと思う。

煌夜祭

寓話のようなファンタジーとしてめちゃくちゃ完成度が高くて、読了後それはもう驚いたとさ。ファンタジー小説って、最初に世界観をある程度説明することで頭でっかちになることが多い気がするけど、煌夜祭では一見するとそれぞれ独立した短編のようなエピソードが積み重なっていく過程で次第に見えてくる世界観と、最初は見えなかったエピソードにつながりが見えてくるドキドキ感とが絶妙すぎて、その構成力の巧みさには舌を巻かざるをえないと思う。

王女コクランと願いの悪魔

表向き完璧な王女が、物語が進むにつれていろいろ抱え込んでいることわかって…。その王女の内面を暴くことで自分の価値を見出すはずの悪魔が、いつの間にか王女に肩入れをしていくというプロットはわりかし単純なはずなんだけど。ラストに向けて物語の行き先が怪しくなってくると、いつの間にか感情移入しすぎてハラハラしちゃうんだよね。それが物語の醍醐味なんだけどさ。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか

気がつけば本編だけで10巻。平行して刊行されているサイドストーリーも6巻。主人公が憧れのヒロインに近づくために努力して強くなっていく成長物語に、種族間の対立だったり、人とモンスターの共存問題だったり、なかなか考えさせられるテーマもうまく織り交ぜられていて、読んでいて飽きがこない。さらに、少年漫画よろしく強敵とのバトルが実に燃える描写になっていて、これがまた読み応えあるんだよな。

灰と幻想のグリムガル

ウィザードリィをモチーフに、いきなり異世界に飛ばされた主人公たちが、それこそレベル1で装備も最弱な状況から少しずつ着実に成長していく過程が面白い。つねに死と隣りあわせであり、ちょっとした油断であったり、身の丈の合っていない相手との戦いが原因で仲間がいなくなる緊張感がこの物語の良さを引き立たせている。最初はゴブリン相手に悪戦苦闘していたパーティーも、いつの間にか強パーティーと一緒に行動したり、未踏の地といえるエリアでサバイバルをしたりで、かなり成長してきた今、ここからどういうふうに物語を動かしていくのか楽しみであり不安でありといったところかな?

この素晴らしい世界に祝福を!

今年アニメ化されたのをきっかけに原作ラノベを読んでみたら、これがめちゃくちゃおもしろかったでござる。結局のところ自分が気に入る小説って、ジャンル問わず登場人物が魅力的か、感情移入しちゃうかという点が占めるウエートがでかいのだけど、このすばも登場キャラがみんな魅力的で楽しいのが良い。そして、ゆるゆるの世界観も、そこで繰り出されるコメディ感覚も良い。極端に凸凹なようでなにげにバランスがとれているパーティーもよく考えられているし、イベントでみせるヒロインたち*4の魅力も良い。アニメのクオリティも良い。と、素晴らしい要素ばかりで欠点らしい欠点が見つからないYO!
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ラノベはジャンルが細分化しすぎて、どこに自分にとっての金鉱が眠っているのか見極めるのが難しかったり、他の人のオススメが自分の参考になるとは限らないという問題があるので、いかにして自分と好みのポイントが似ている人を探すのかが課題かもしれない。

ここのところ読書傾向がSFジャンルに偏りがちだったのだけど、「図書館の魔女」という傑作に出会ってから、またファンタジー小説に惹かれるようになってきた。上記紹介作品を超えるような本にはなかなか出会えないのはわかっているのだけど、それでも発掘しないと面白い本と巡りあえないし、そんな中鳥肌が立つほど面白い本と出会える瞬間があるから、読書をやめられないのかもね。

*1:いまだ出版社からは打ち切ったという明言はされていないのだけど

*2:当然個人差はあるだろうけど

*3:「火竜山の魔竜」が発売された直後くらい

*4:特にめぐみんとダグネス