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『病の皇帝「がん」に挑む』読了

2ヶ月くらいかけて『病の皇帝「がん」に挑む』というノンフィクション本を読んでいたのだけど、これがもう実に興味深い内容で、とにかく面白かった。

病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘(上)

病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘(上)

病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘(下)

病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘(下)

わかっている限りで人類は4000年も前からがんという病と闘ってきて、未だ克服できてないわけだけど、それでもいろんな人たちの発見や地道な研究の成果で死亡率は徐々に下がってきたという歴史を、著者曰く「がんの伝記」風に淡々と綴っている。

とにかく、読みながらいろいろと勉強になる内容だった。白血病ががんの一種だということすら知らずにいた人間が読めば、そりゃどんな内容でも勉強になるって話ではあるんだけども…。

  • がんとはどのような病なのか?
  • がんと闘う方法(化学療法、放射線治療)が見つかる以前、人々はどう向き合っていたのか?
  • 化学療法のための抗癌剤放射線治療はどのように発見されたのか?
  • がんが早期発見できるようになるまでの苦難の道のり。
  • がんの予防にまつわるあれこれ。肺がんとタバコ業界の話とか。
  • がんのメカニズムの話。

などなど。読んでいてびっくりしたのは、がんと遺伝子の関係性が判明するまでの、がん克服のために繰り広げられた研究や実験の無謀さや困難さ。そして、がんの治療方法の確立には医学的な知識の裏付けではなく実験と経験だけに頼っていたこと。それでも、地道な実験や研究、分析や統計を続けた人々の努力が、いろんな形でつながったり連鎖してく過程で発見される治療法。少しずつ見つかっていくがんと闘うための武器たち。そこには劇的なドラマがあるわけではないのだけれど、気がつけば熱い気持ちが湧き上がってくるという。ほんと、先の見えない困難さにもめげずにがんと向き合い続けてきた人々には感謝しかないわけです。

で、読み終わっての一番の収穫は、たとえば体調を崩して病院に行ったところ医者からがんだと告知されたとして、(冷静になれるかは別として)医者からの説明をしっかり受け止めるだけの基礎知識が身についたことではないだろうか。がんに対する恐怖って、未だに死が身近である大病であることもそうだけど、がんという病をよく知らないという未知の恐怖も大きいと思うんだよなー…。

ドラマチックな話は全然ないし、医療を扱うノンフィクションということで一見堅苦しそうに感じるかもしれないのだけど、いったん読み始めてみるとなにげにとても読みやすいし、特に予備知識がなくてもすいすい読み進められるので、がんという病のことをよく知らないけど興味はある、って人は一読を強くおすすめしたい。最近「がん‐4000年の歴史‐」と改題されて文庫化されたことで、お手頃価格になったことだしね。

がん‐4000年の歴史‐ 上 (ハヤカワ文庫NF)

がん‐4000年の歴史‐ 上 (ハヤカワ文庫NF)

がん‐4000年の歴史‐ 下 (ハヤカワ文庫NF)

がん‐4000年の歴史‐ 下 (ハヤカワ文庫NF)