読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Shaw's Home Page(本館)

はてなダイアリーから引っ越しました。

ツール・デ・フランドル(2017年)雑感

くー…おれはこういうレースをフランドルで見たかったんだ!というくらい興奮しました。もうね、面白すぎた。結局のところ、自分はクイックステップというチームが好きなので、このチームがレースをかき乱せば面白く感じるし、それで結果を残そうものなら興奮してテンションが上がりまくり!ってことがはっきりわかりましたw さすがに、残り50キロ以上残した時点でしかけたジルベールの単騎逃げは無謀としか思えなかったのだが…、まさかこんな結果になるとは。こういうことがあるからロードレース観戦をやめられない。

思い起こせば、去年のフランドルはそれはもうクイックステップファンとしては苦難のレースだった。レース後の雑感をこのブログに残しているのだけ、随分と冷静に敗因を考察しているところに、なんというか諦観の念がうかがえる。

shaw.hatenablog.com

石畳を得意としている選手は多いのに、充実一途のサガンやGVAに太刀打ちできそうなパンチャーがいないというところが、チームとしての大きな課題だったのだけど、その解決策がジルベールの加入だった。

フィリップ・ジルベール。現ベルギーチャンピオンではある。なのだけど、BMCに所属していた5年間はさほどリザルトを残せてはいない。ロット時代にアルデンヌクラシックでめっぽう強かったジルベールを知っているから、余計BMCでの空気っぷりに、選手としてのピークは終わってしまったのでは?疑惑を抱いていたロードレースファンも多かったはずだ。かくいう自分だってそうだ。

それでも、今年になってクイックステップに移籍したジルベールは前哨戦で結果を残した。アルデンヌクラシックを目指すというより、石畳クラシックを目標にしたレース選びをし、見事フランドルではチームのエースとなった。それでも、サガンやGVAとの真っ向勝負となった場合に太刀打ちできるかとなると…ちょっと怪しい。

そこで選んだチーム戦略は、チームの総合力を活かしてレースを引っかき回すというものだった。早めに仕掛け、中盤からふるい落としをはじめる。そして、主導権を握るために、実力のある選手を先頭に送り込む。でもそれは今年に限った戦略じゃなくて、いつもいつもやっていることなんだけどね!それでも今年のクイックステップは一味違った。

はじまりはゴールまで残すところ90キロあまり、久々にフランドルに帰ってきたミュール・カペルミュールで起きた。先頭を走っていたボーネンが軽快に登坂しはじめる。それについていった精鋭十数名と、プロトンで様子を見る者たち。前者にはチームメイトであるジルベールとトレンティンの他、クリストフやヴァンマルク、シャバネルといった精鋭が、後者には優勝候補筆頭だったサガンとGVAが。こんな早くから動いたって骨折り損でしょ…なんて思いながらこの動きを見守っていると。利害が一致したのかグループボーネンはきれいなローテーションが成立し、プロトンとの差を徐々に開いていく。逆に、この集団に誰も送り込めなかったBMCやロットあたりが中心になって、グループボーネンの追走が始まる。

ロードレースって、集団同士の追いかけっこが始まると、個人対個人ではなく、チーム戦の色合いが濃くなって、いっきに緊張感が高まるし、見ているこっちも中だるみどころじゃなくなって面白くなっていく。30キロほどこの追いかけっこが続いた結果、グループボーネンも諦めの色がみえはじめ、徐々に後続との差も詰まっていく。それでもボーネンは諦めない。この逃げと心中するの?というくらいの気迫のまま前を牽き続け…、2度めのオウデクワレモントで今度はなんとジルベールがアタック!

いや、あれはアタックというよりは、ジルベールにとっては自分の調子を確認するための登坂だったのかもしれない。でも、あまりにも軽快に登坂を続けるジルベールをだれも追いかけようとしない。そしてそこから始まる一人旅。プロトンボーネングループに追いついたころには1分くらいのアドバンテージが出来ていた。ゴールまで残すところ50キロ。

パリ~ルーベでは時々見られるロングエスケープ。それが成立するのはパヴェ区間はハードでも基本は平坦だからだと思っている。だけど、フランドルはそうではない。まだ激坂で有名なあのコッペンベルクも、三度目のオウデクワレモントも残されている。いくらなんでもこの逃げは無謀だろう。しかし。

ジルベールを追うチェイシンググループには、ボーネンとトレンティン、テルプストラが居残り、追走のためのアタックがかからないように徹底したコントロールが続く。もちろんジルベールとの差は縮まらない。レースは完全にクイックステップの術中にはまりつつある。サガンとGVAが前に出てもローテーションは成立しない。ジリジリとした時間は続く。そして残り30キロ。ボーネンに機材トラブルが発生。すかさずに動くサガン。いっきにレースが動き始める!

自転車交換に手間取ってしまったボーネンは完全に脱落。かろうじてトレンティンがサガンやGVAを中心とした追走集団に追いつく。トレンティンといえば、去年のパリ~ルーベでもサガンカンチェラーラの追走を巧みに邪魔をしたアシスト職人なのだけど、ここでもその手腕を巧みに発揮。追走集団はなかなか足並みをそろえることが出来ない。ジルベールとの差は1分前後を推移したまま変わらない…。

そして迎える三度目のオウデクワレモント。ついにトレンティンが追走集団から脱落。いよいよ始まるだろう、本気の追走劇に、ジルベールはどこまで耐えられるのか…というタイミングで、今度はまさかのサガン落車!それに巻き込まれるGVAとナーセン。GVAは素早く体制を立て直すも、サガンとナーセンはレースから脱落。いよいよもって高まるジルベール逃げ切りへの期待。

さらにさらに。ジルベールを必死で追うGVAのすぐ後ろに、ずっと息を潜めていたテルプストラの姿がw テルプストラ、サガン達と一緒にいなかったから前についていけなかったものだと思っていたけど、トレンティンが役目を終えた後にそれに入れ替わるように前に出てきたよね。チームオーダーだったのかわからんけど、GVAにぴったりはりつくテルプストラを見ながら、ジルベールの逃げ切りが濃厚になったのをようやく認めることが出来た。もうね、今年のフランドルは、クイックステップにとって面目躍如といえるレースになったよね。

もちろん相当リスクを負った作戦ではあった。ジルベールが途中でタレる可能性はあったし、ボーネンがメカトラで脱落した時点でとれる切り札が一気に減ってしまった。サガンの落車がなければどうなっていたかもわからない。でも、今年のクイックステップは、レースを面白くするカードを切って賭けに挑んで、そしてその賭けに勝った。その結果がベルギーチャンピオンジャージによる55キロの独走劇という、ファンの記憶に強く残るレースになった。そりゃもう、ファン冥利に尽きるというものですよ。

落車で勝機を失ったサガンやヴァンマルク、勝負のアヤに乗れなかったGVAにとっては消化不良の結果かもしれない。自分が彼らのファンであったら、やっぱり消化不良に感じたレースかもしれない。けれど、こういうトラブルが発生するのが石畳クラシックなのだし、レース展開としてとにかく熱くなれるレースだったことには違いないと思うんですよ。

よりにもよって日本語実況がない状態でこのレースを観戦することになったのには心から失望しているし、このような状態が続くようであれば自分のレース観戦熱が下ることも危惧している。それでも、こういう大舞台で心から楽しめるレースを見てしまうと、やっぱりロードレースって面白いよなー…って思う。

願わくばこの勢いで、来週のパリ~ルーベでボーネンの花道を見届けたいですね。今度はJスポーツの実況だしね!

www.cyclowired.jp
www.cyclowired.jp

しかしDAZNには困ったものですね。一時はDAZNの放送予定にツール・デ・フランドルも含まれていたのに、いつのまにかその予定から消えていたという。

そのことに対して、こんな疑問をいだいた方も。オフィシャルサイトの記載だと、放映権はJスポになっていると。

で、この放映権はどこが抑えているのか?という疑問に対して、Jスポーツのつぶやき。どうやらオフィシャルの記載ミスらしい。

そうなると、やっぱり放映権自体を握っていたのはDAZNだと思われる。では、いったいどういう理由で配信対象から削られたのだろうか。それに対する、一番説得力のあった説はこちらだと思われる。

DAZN配信スケジュール@2017.4.2

つまり、DAZNで一度に配信できるのは現状では8件と考えられ
そして自転車のプライオリティは低い。

うーむ、日本でのサービスが始まったばかりで、会員数もまだまだこれからという現状では、最優先されるのはやっぱりサッカーになるんでしょう。そして日曜日のこの時間帯は、ライバルも多いということなんだろう。もちろんこれは商売なんだし、経営判断としてユーザーが多いところに使えるリソースを多く割くのは当然のことなのかもしれない。でもなー、よりにもよってツール・デ・フランドルの配信を削ってしまうというのは、少なくともロードレースファンからするとやりきれないし、反感にしかならないですよ。

逆にJスポーツは、4チャンネルのうち1つをロードレース枠としてかなり優先的に確保してくれてたってことで、本当にありがたい存在だったんだなぁ…と今更ながら感謝している。どうやって課金額を減らそうか…なんて思っていたけど、ここはもっと気前よくお金を落とすべきところなのかもしれませんな…。