ドバイワールドカップデー雑感
ちょっと遅いけど、先週土曜日に開催されたドバイワールドカップデーについての雑感を。
最大のサプライズはUAEダービーに勝利したラニ。UAEダービーって、過去フラムドパシオンでも、去年の最強メンバーでも手も足も出なかったので、この時期のダート戦は厳しいのかなぁ…なんて思っていたんだけどな。ラニは前走日本で負けてることもあって、よく選出されたなーなんて思ってたくらいなんだが。勝つときはこういうもんなのかな。次走はケンタッキーダービを目指すとのことで、日本調教馬だとスキーキャプテン以来の挑戦になると思うのだけど、さてどうなることか。
DWC 2016 Race 4 - UAE Derby Sponsored By The Saeed & Mohammed Al Naboodah Group
続いて、ドバイターフでのリアルスティールの勝利は、馬自身が強かったのもあるけど、さすがライアン・ムーア!とも思った。四角あたりで若干手応えが怪しそうにみえたのに、終わってみれば力でねじ伏せていたもんなぁ。あと、勝利が見えた瞬間、福永さんェ…と思った人が多そうだけど、初G1勝利が海外で、しかも乗り替わった結果となればいかんともしがたい。そんな福永もさすがに思うところが大きかったのか、翌日の高松宮記念で、期待されつつ重賞に手が届かないでいたビッグアーサーを初乗りで優勝に導いた。デムーロとルメールが有力馬を集める今の状況、さすがに福永もここが踏ん張りどころだと思ってるんでしょう。
DWC 2016 Race 7 - Dubai Turf Sponsored By DP World
リアルスティールの勝利をみて、こりゃドゥラメンテのシーマクラシックも勝てるんじゃね?なんて思っていたら、こちらは2着まで。発走前の落鉄の影響がどのくらいあったのかは人によって意見が異なるようだ。
ちなみに、JRA競走馬総合研究所にいらした「馬博士」の楠瀬良先生によると、蹄鉄は蹄の保護の意味合いがほとんどで、付けても付けなくても競走能力に影響はない、とのこと。ベテラン装蹄師さんも同様の見解でした。レース前の落鉄で本当に問題なのは、打ち直しの際のメンタルな影響でしょうね。
— t_miyoshi (@kajiyamania10) March 26, 2016
2着 ドゥラメンテ(M.デムーロ騎手)
「すごく良い競馬でしたが、右前の蹄鉄がなかったためか最後に馬が疲れてしまいました。でも蹄鉄がなくてもこのパフォーマンスはすごいと思います」
今回は落鉄がなくても勝ち馬と逆転はできてなかったんじゃないかなぁって感じる着差ではあったけど。ドゥラメンテの前を走るポストポンドを見ながら、世界は広いなー…なんて当たり前のことを思ったのでした。あと、最後するどく伸びてきたラストインパクトにびっくりしたな。去年のJC2着もフロックではなかったということか。とはいえ、国内だと中距離~クラシックディスタンスの層が厚いので結果を出すのは大変そうだけど。
DWC 2016 Race 8 - Dubai Sheema Classic Presented By Longines
ドバイワールドカップに3年連続で出走したホッコータルマエは見せ場もなく。一昨年のアメリカ2冠馬カリフォルニアクロームの強さだけが印象に残るレースになった。なんでこの馬、去年のこのレースで負けたんでしょーねぇ…。
DWC 2016 Race 9 Dubai World Cup Sponsored By Emirates Airline
それにしても。ここ数年、日本馬がドバイワールドカップデーに大攻勢をかけ、そして勝利という形で結果を残すことが珍しい事じゃなくなってきて、今回だと例えばリアルスティールが勝利したのを見届けた際も、よくやった!!!と思っても鳥肌がたつほど感動するようなこともなくなった。慣れって恐ろしいよね。
あと、今回のグリーンチャンネルのライブ中継、ゲスト解説者に石橋守調教師を起用してたけど、これは完全に起用ミスでしたね。司会者が話題を振っても、「現地じゃないとわからないので…」って返されても、そりゃそうかもしれんけどさ、こちらはそれでも過去の経験なり、本人の知見なりで解説をしてほしいわけじゃない。こう、去年の凱旋門賞で武豊が実に鮮やかな解説をしてたのとは対照的すぎて。さすがに普段から軽妙なトークを繰り広げる武豊レベルを求めるのは酷だとは思うんだけどさ、せめてこういう場で話をすることに多少なりとも慣れている人をゲストとして呼んだほうがいいんじゃないかな?
とは言え、やっぱりライブリマウントの話題がでると懐かしさがこみ上げてきますね。第1回という記念大会に日本代表として参戦することになったのは、当事者としても重圧になるものがあっただろうし、20年前の時点で海外の大レースに乗ったことある日本人騎手自体がほとんどいなかったわけだし、それを考えるとほんとこの20年で日本の競馬って進歩したんだなぁとしみじみ思ったのであった。
今年はこのあとも有力馬の海外遠征が続きそう(?)なので、引き続き楽しみです。