スピリットサークル完結
スピリットサークルの最新刊であり完結編でもある6巻が発売されたので購入した。
- 作者: 水上悟志
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2016/06/10
- メディア: Kindle版
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どんな形で物語の幕をひいたのか見届けたあと、もう一度1巻から読みなおしてみて、その内容の濃さに改めて感動している。
スピリットサークルと呼ばれる謎の円環。額に大きなキズのある転入生から、何故かいきなりこの円環で殴られた主人公は、自分の過去生(必ずしも過去の話とは限らない)に転生する形で、過去から続く因縁を知ることになっていく…という、輪廻転生をテーマにしたSF漫画。
物語の鍵となるフルトゥナという人物含め、7つの時代の7人の過去生に転生し、それぞれで繰り広げられるドラマ。そこには、ヒロインとの死闘もあれば共存もあり、血なまぐさいこともあれば平穏・平凡なこともあり、そして笑いもあれば涙もある。いろんなシチュエーションのなかで続くヒロインとの邂逅が、最後にフルトゥナへとつながっていく展開は、1巻ごとに話を追っていた時はそのつながりに気づきにくかった*1けれど、通して読むとここまで練られた話だったんだなぁ…なんて今更ながらに気づいたりする。なので、完結した今、とっても読み頃なのですよ。
輪廻転生というテーマと、過去、現在、未来でのそれぞれのエピソードは、なんだか火の鳥チックなところも若干あるかもしれないけど、水上悟志先生によって息を吹き込まれた登場キャラ達が実にいきいきとしているので、類似した話があろうとなかろうと独自の魅力が引き立っているように思う。
個人的には、第五章の方太朗と岩菜のエピソードと、第六章のラファルとラピスのエピソードがとても印象深かったかなぁ。特に第六章の「寝台」については、SFでよくあるディストピア的な側面もある話なんだけど、前半の静かな展開と、急展開する後半の話と、そしてあのラスト…と、もともと濃縮されたエピソードが多いなかで、一段と個性が強かった気がする。
表紙絵が少々地味なことや連載誌もマイナーなこともあって、いまいち認知度の低い漫画にとどまってしまっている感があるけど、それが本当に本当に惜しいので、とりあえず騙されたと思って手にとって読んでみて欲しいなぁ…。そして、何気にアニメ化と相性の良い漫画だとも思っているので、あわよくばノイタミナあたりがアニメ化をおしすすめて、原作も脚光も浴びることに!という展開をぜひとも希望したい。
shaw.hatenablog.com
以下、ちょっとだけネタバレ
ちと、ソウルキャッチャーの存在がなぁ…と思わないでもないけど、広げた風呂敷をしっかりたたむためにはどうしても必要な存在だったと納得することに*2。個人的にケチをつけるのはそのくらいです。