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自分の趣味について書き散らかす雑記ブログ。

サイクルロードレース好きにすすめるコンテンツ10選

先日、はてブをだらだら見てたらこんなエントリーが目に入ってきた。

「弱虫ペダル」から入った自転車乗りに贈るガチ向け自転車映画7選*1

お、いいですね、こういうまとめ記事!私もそれなりに自転車好き&映画好きなので、楽しみながら読ませていだきました。紹介されていた7作品のうち自分も鑑賞してたのは3作品。残る4作品のうち3作品は初めて目にするタイトルだったので、いずれ鑑賞してみたいなぁなんて思いました。

ただね、このチョイスを眺めながら、「弱虫ペダル」から自転車に興味を持った人にどのくらいささるだろうか?と考えてしまったのも事実だったりする。だってさ、サイクルロードレースが好きな人ってピストバイクを目の敵にしたりするじゃないですか*2。そんな人に「プレミアム・ラッシュ」を勧めても、だれも幸せにならないんじゃないだろうか。

そこで、自分だったらこれをおすすめする!というのを考えてみました。ちなみに、映画だけだと持ちネタが少ないので、本も対象に入れてます。なので、このエントリーは「コンテンツ」10選です。

さて、おすすめ作品を挙げる前に、もうちょっと「弱虫ペダル」から自転車好きになった人がその先何に興味を持つかを考えてみたい。ちなみに私も過去に「弱虫ペダル」を途中まで読んでます。御堂筋というキャラが嫌い過ぎて、インターハイ突入後間もなく読むのをやめたので、ファンの方からしてみると早期リタイア組に入るかと思います。

行動パターンとして思いつくところだとこんな感じだろうか。

1. 「弱虫ペダル」という作品にひたすらハマる。ただ自転車競技にはさほど興味はない。
腐女子の方に多そうなパターン。アニメ版、舞台版、そして二次創作へと興味は向いていくのだろうけど、私はこの方面に明るくないので、このタイプに向けておすすめできるコンテンツはありませぬ。

2. 自転車に乗ることに目覚める。自転車競技には、自分が参加する方向で興味をもつけど、観戦するだけじゃ物足りない。
→ 健康志向な方に多そうなパターン。自転車購入、カスタマイズ、ロングライド、レース参加へと興味は向いていくと思われるので、以下にオススメするコンテンツとどこまで相性が合うかは微妙だけども、「のりりん」のような自転車雑学漫画は楽しめるのではないだろうか。

3. サイクルロードレース観戦に目覚める。Jスポーツ加入は当たり前、春のクラシックシーズンやグランツール時期になると寝不足になる。
→ スポーツをコンテンツとして楽しむパターン。人間同士の真剣勝負やその舞台裏、ゴシップ話などが面白くてたまらないタイプ。以下のオススメコンテンツは主にこういう人向けです。

その他、3からの派生型としてトラック競技ファン(からの競輪ファンとか)、現地観戦好き(からのカメラ沼とかw)、さらには上記パターンが複数当てはまるハイブリッド型とか、いろいろ考えられるけれども、ここでは3のレース観戦好きに的を絞ったオススメコンテンツの紹介としたい。

と、長い前置きになってしまったけれども。以下、映画、本(小説)、本(漫画)とカテゴリを分けて紹介していきますよ!どーん。

映画

茄子 アンダルシアの夏

茄子 アンダルシアの夏 [Blu-ray]

茄子 アンダルシアの夏 [Blu-ray]

この作品がきっかけでサイクルロードレースへの興味が急に湧いてきた、というのと、黒田硫黄ファンになったという点で、やはりこのタイトルは外せない。秀逸なのは、細部にわたるアニメーション表現の凄さだけじゃなくて、スペインでのレースの空気感というのがそれは見事に表現されていることなんだよね。50分弱の中編というボリュームも、さっくり鑑賞できて良いと思います。

チェイシング・レジェンド

チェイシング・レジェンド(特典DVD付き2枚組)

チェイシング・レジェンド(特典DVD付き2枚組)

2009年のツール・ド・フランスを舞台に、サイクルロードレースの面白さはいったい何なのかを、単なる総集編としてではなく、チーム密着のドキュメンタリとして魅せてくれます。そういう点で、ロードレース観戦初心者に一番オススメしたい映画はこの作品かもしれない。ちなみにこの作品のレビューは以前映画.comで書いたので、興味があればそちらを参照してほしい。

しかし最近のグランツールは、スプリントステージのゴール前にもかかわらず、総合系チームが危険回避目的で集団前方にあがってくるので、この作品で繰り広げられるような美しいトレインを観る機会が減る一方で寂しいんだよなぁ…。

ブラッド・スウェット&ギアーズ

ブラッド・スウェット&ギアーズ [DVD]

ブラッド・スウェット&ギアーズ [DVD]

ドーピング問題。それはもう自転車競技とは切っても切り離せない永遠のテーマの一つ。現役時代、ランス・アームストロングと同僚だったこともあるジョナサン・ヴォーターズが、ドーピングまみれの競技から早々に足を洗い、その後クリーンな競技を目指してチームを立ち上げ、それに賛同する選手たちとともにツール・ド・フランス出場を目指す…。って、自分がロードレースを観始めた頃にはそれがいかに大それた挑戦だったかのかいまいち実感できていなかったけども、今考えてみると壮大な挑戦だったことがよくわかる。そして、彼らの残した偉大な功績も。その過程に密着したドキュメンタリといったら、面白く無いはずがないでしょう。

ロード・トゥ・ルーベ(の予告編)

ロード・トゥ・ルーベ [DVD]

ロード・トゥ・ルーベ [DVD]

サイクルロードレース観戦に目覚めると必ず避けて通れないレースの一つ、「パリ~ルーベ」。そのレースがいかに過酷で、このレースを完走するということがいかにリスペクトされることなのかをドキュメンタリとして綴った作品です。ただまぁ…メインが選手や関係者のインタビューで、レース映像は思ったほど多くないので、期待してみると肩透かしをくらうかもしれないけども。結局、一番おもしろいのはレース自体ってことなんだよね。

ただ!この作品、予告編の完成度がとっても素晴らしいのですよw 来年のパリ~ルーベまでまだ半年近くあるじゃんよー…なんて思ってる時にこの予告編を観ると、それだけで気分が高まってくるので、オフシーズンの今こそ一見の価値ありかもしれない。


『ロード・トゥ・ルーベ』予告編

本(小説)

サクリファイス

サクリファイス(新潮文庫)

サクリファイス(新潮文庫)

つい先日書いた「5巻以内完結のおすすめ漫画」でも取り上げた、サイクルロードレースを舞台にしたミステリ小説。サクリファイスとは「生け贄、犠牲の意」。サイクルロードレースを観戦していると否が応でも気づくのは、1人のエースのために*3ひたすら献身的に、自己をすべて犠牲にしてでもアシストに徹する残りのチームメイトという構図。そして、アシストを足がかりにしてエースになるケースもあれば、ひたすらアシストとしてチームに評価され、現役をアシスト選手としてまっとうするケースも多い。そう考えると自転車競技におけるサクリファイスという言葉は普遍的なものなのかもしれないけれど、この作品に秘められたサクリファイスの意味は、最後になって明らかにされる…。いや、ミステリとしても、ドラマとしても、そしてサイクルロードレースを楽しむといううえでも、とても素晴らしいお話だと思います。

シークレット・レース

シークレット・レース―ツール・ド・フランスの知られざる内幕 (小学館文庫)

シークレット・レース―ツール・ド・フランスの知られざる内幕 (小学館文庫)

ドーピング問題。それはもう自転車競技とは切っても切り離せない永遠のテーマの一つ。って、「ブラッド・スウェット&ギアーズ」の紹介でも同じフレーズを使ってるな。自転車のドーピング問題を語る上で、アームストロングという名前を外すことはどうやっても無理なんだけど、この本はそのアームストロングの元アシストで、その後別チームに移籍後はアームストロングのライバルにもなったタイラー・ハミルトンによる自伝小説。そして、競技界にはこびるドーピング問題を赤裸々に暴露したお話でもある。本書の感想はここで書いている

サイクルロードレースのファンであればあるほど目を瞑りたくもなる現実がそこには描かれているんだけども、それでも読むのをやめられない面白さ!今回オススメしている10選のうち、一番プッシュしたいのは本書だったりする。

ツール・ド・フランス 勝利の礎

ツール・ド・フランス 勝利の礎

ツール・ド・フランス 勝利の礎

  • 作者: ヨハン・ブリュニール,ラッセル秀子
  • 出版社/メーカー: アメリカン・ブック&シネマ
  • 発売日: 2008/09/12
  • メディア: ハードカバー
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この期に及んでこの本を紹介するにはちょっと躊躇しちゃうのだけども…。かつてアームストロングと二人三脚でチームを率いてきたヨハン・ブリュイネールの、選手時代を含めた自伝本。現役時代もチームディレクターになってからも、ドーピング問題に関しては完全にクロだった人物の自伝本を面白かったと紹介するのもどうかとは思うのだけど、「茄子 アンダルシアの夏」をはじめて観た当時、サイクルロードレースってこんなにおもしろい競技なんだなぁとさらに興味を深めたきっかけがこの本だったりするので、今になっても悪く思うことができないのよ。

というか、当事者たちがロードレース界を追放された今になって、改めてこの本を読んだらどういう感想になるんだろうか。やっぱり「何白々しいことばかり言ってるんだよ!」ってなるんかなぁ。

本(漫画)

シャカリキ!

サイクルロードレースに興味を持ったきっかけというと、前述「茄子 アンダルシアの夏」なんだけども、それよりはるか以前に、この漫画めちゃくちゃおもしろいじゃん!と思ったのがこの「シャカリキ!」ですね。初めて読んだ当時、曽田先生は「め組の大吾」が絶賛連載中で大好きだったのだけども、その話をした知人がこの漫画も面白いよと紹介してくれたのがシャカリキ!だった。今思うと、なんでその時点でサイクルロードレースという競技にたいして興味を持たなかったのか不思議なくらいなんだけども、今から20年くらい前はもっともっとマイナー競技だったからなのかしらん。

かもめ☆チャンス

主人公が脱サラしてロード選手になっていくお話。素人が通勤に自転車を使うようになって、その後山を登ったりレースに参加しているうちに、いつのまにか日本のトップカテゴリレースに参加するまでになり…。地味な漫画ではあるけれど、結構地に足の着いた展開からステップアップしていく内容が私は好きだったな。

玉井先生は「じこまん」という自転車乗りあるある漫画も書いていて、自転車に乗ることが好きな人はむしろこっちのほうが好きかもしれないですね。正直、Jスポーツはツール期間中のゲストに渡辺先生を招くよりも、個人的には玉井先生にご登場願いたいんだけども。

のりりん

今回紹介したコンテンツの中で、唯一プロの世界とは無縁の、もっとも日常的で身近なお話。自転車嫌いの主人公が、しかたなく自転車に乗るようになっていくうちに、その楽しさや魅力に気づいていく…というあらすじの説明じゃとても面白そうには思えないかw この漫画の真骨頂は、自転車雑学ネタだったりする。自転車がなぜ今の形になったのか、その前にはどんな姿の自転車があったのか、なんていうネタが随所に盛り込まれていて、真剣勝負ばかりじゃなくても面白い話になるんだなぁなんて思った。

あと、鬼頭先生の漫画なのに、とくにシリアスにもならず、だれも不幸にならないまま完結したのも個人的にはポイント高し。そんなの鬼頭漫画じゃないよ!というファンもいるのかもしれないけど…のりりんはそういう漫画ではないのでw

以上、10作品について自分の感想含めて紹介してみた。一部を除いて、純粋にサイクルロードレースの世界をより楽しむ一助になるものばかりだと思うのだけども、いかがだろうか。

*1:元記事が削除されていたためアーカイブのURLです

*2:偏見かもしれないけどw

*3:時々エースが複数のケースもあるけれど