競馬好きであり、それなりにアニメも好きで、若干ケモナーかもしれないという自覚がある自分にとって、ウマ娘というアニメは迎合する相手ではなくて、観たら負けだというスタンスでいたんだけども。だってさ、元のモチーフが牡馬であっても、アニメでの擬人化ではすべて娘になってるのって違和感あるじゃない。まぁ、それが頭の固い考え方だってのはわかっているんだが…。
ところが、そのウマ娘を観てみようという気になったのは、スペシャルウィークが死亡したという報を耳にしたことがきっかけだった。
スペシャルウィークの死亡について。
— 日刊競馬 (@nikkankeiba) 2018年4月27日
合掌。 pic.twitter.com/rlPmkSln84
ウマ娘を知っている人には改めて説明するまでもないけれど、スペシャルウィークはこのアニメのヒロインである。個人的に、スペシャルウィークの現役の頃の印象が、すでにあまり残っていなくて。
スペシャルウィークが現役だった頃って、自分が大学生で、一番競馬に時間をかけていた時期のはずなんだが、スペシャルウィークの印象が自分の中でやたらと薄いのはなぜなんだろうか?とさっきから考えている。当時、あまりにも勝ちすぎていた武豊が好きじゃなかったからだろうか…w
— shaw (@hashimukai) 2018年4月27日
アニメでは、スペシャルウィークの現役時代をそれなりになぞったストーリーになっているらしい。たしかに、クラシック路線や古馬になってからのライバル関係を考えると、物語として描きやすいのもわかる。なので、ウマ娘というアニメを観ながらスペシャルウィークという馬のことを振り返ってみるのもありかー、なんて気持ちが視聴のきっかけといえる。まぁ、単純にアニメとしての評判が悪くないっぽいってのもあったんだけど。
さて、このアニメを観ていると、ヒロイン以上にとても気になってくる存在がでてくる。そう、サイレンススズカだ。ヒロインであるスペシャルウィークは、先輩であるサイレンススズカに強く憧れている設定になっている。実際にこの2頭って1歳違いなんだよね。で、20年前の記憶がすでにあやふやな自分でも、この2頭の直接対決が一度もなかったことは調べなくてもわかる。
サイレンススズカといえば、なんと言っても「沈黙の日曜日」こと秋の天皇賞の記憶がまっさきに思い浮かぶ。あとは弥生賞でのゲートくぐり事件の印象も強烈に残っているせいか、もっとこうアクの強いイメージがあるけれど、アニメでは普段はおっとりした性格に描かれている。
上述したとおり、アニメのシナリオは、スペシャルウィークの成績をなぞるように進行していく。ただ、日本ダービーにエルコンドルパサーが参戦するところから、事実とは違う要素も入ってくる。アニメならではのif要素があるわけだ。そうなると…、その先の秋の天皇賞で、サイレンススズカの扱いはどのようになるのだろう?
考えられるのはこんなあたりだろうか。
- 現実と同じストーリーで描かれる。
- レースで起きることは同じでも、その続きがあるストーリーになる。
- 完全オリジナル路線で、その先も快進撃を続ける、当時のファンが1度は考えただろう夢のある展開になる。
競馬を観ていると、素質のある馬が怪我によってリタイアしていく姿を何度もみることになる。つい先日の春の天皇賞で、レースに勝ったレインボーラインが、ゴール入線直後に下馬した例なんて最たるものだろう。G1レースのような晴れ舞台だけじゃなくて、重く悲しくなる現実だってあるわけだ。それをウマ娘というアニメではどう扱うのだろうか…。個人的には、ここまでスポ根アニメとしてまっとうなストーリー展開できたので、挫折という形で折り合いをつける程度で、最悪の事態にはしないんじゃないか、いやアニメくらいはそうあって欲しいなぁ、という気持ちで、そして迎えた第7話。
まさかウマ娘というアニメでここまでハラハラすることになるとは思わなかったが…、ネタバレは避けたいので結末には触れない。でも、ネタバレ的な感想でいうならば、続きも前向きに鑑賞しよう!という気持ちになっている。
最初このアニメのことを知った時は、こんなキワモノ設定で誰が得するんだと思ったくらいだったのだけど、アニメとしてのクオリティだったり、スポ根ものとしての作法だったり、そしてなにより、競馬好きが過去を思い出したり、いろいろと埋め込まれているちょいネタで楽しめるという点で、思っていた以上に良いアニメになっていると思う。
とりあえず7話で中盤のピークを越えたと思うのだけど、残りでどう物語が転がっていくのか、続きも楽しみにしたい。さてどんなラストを迎えることになるんだろうか。