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自分の趣味について書き散らかす雑記ブログ。

レコード決着というロマン

競馬を観ていると、時々とっさに理解ができないレコードタイムを目にすることがある。昨日のジャパンカップなんかはまさにそんなレースだった。2:20.6というタイムがテレビに映し出された瞬間、時計の故障を疑っちゃったからね。っていうのは大げさすぎるんだけど。

ホーリックスが当時の世界レコードとなる2:22.2というタイムでジャパンカップを勝ったのは平成元年のことだ。アルカセットが同レースでこのレコードをコンマ1秒更新したのが16年後の2005年。そして13年後のジャパンカップで、いきなり1.5秒も更新する大レコードが生まれた。高速馬場、3歳牝馬で斤量が53キロ、逃げたキセキが素晴らしいラップを刻んだこと、最内枠から先行して距離損なく理想的なレースができたことなど、要因はいろいろ考えられるだろうけど、それでもここまで驚異的なレコードになったのは、やはりアーモンドアイが化け物じみた強さを発揮したことに尽きるんだろう。

ところで、大レースでレコード決着になることにはロマンがある、と俺は思っている。特に、長年破られなかったレコードがついに破られる瞬間とか、いきなり1秒近くレコードが更新される瞬間とか、ぞくぞくしてしまう。もちろん世の中にはJRAの馬場造園課が魔改造を施した高速馬場に批判的な声があることは知っている。というか、時々自分もそれを意識してしまうこともある。それでも、偉大なレコードが生まれた瞬間、鳥肌が立ってしまう。

それなりに長いこと競馬のレースを観てきたので、レコードが生まれる瞬間も何度も目にしてきた。そんな中から、個人的に印象深い、そして鳥肌モノだったレースをいくつか挙げてみたい。

1994年毎日王冠

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ネーハイシーザーが勝った毎日王冠。この年の春先にSFCダビスタ2にどっぷりはまったのがきっかけで、秋競馬からTVで競馬中継を観るようになったんだけど、この毎日王冠が自分に与えた衝撃はとにかく大きかった。競馬の魅力にとりつかれた瞬間と言っても大げさではないかもしれない。ちなみにこの秋競馬では、京王杯AHでサクラチトセオーが当時のマイルレコードを、そして暮れのスプリンターズSサクラバクシンオーがスプリントレコードを、あとは今も残るエアダブリンステイヤーズSのレコード更新と、記憶に残るレコード決着が多かった。競馬を始めたばかりのタイミングでこういうレースを観たことが、その後のレコードフェチへの入り口になったのかもしれないw

1996年NHKマイルC

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新設されたばかりのG1、マイルC。当時外国産馬はクラシックに出られなかったので、実質上外国産馬ナンバーワン決定戦といえる。第1回のマイルCって、18頭中14頭が外国産馬だったんだよね。時代を感じるよな…。レースは、圧倒的一番人気だったファビラスラフインが直線で失速する中、外から伸びたタイキフォーチュンが押し切り勝ち。勝ちタイムは1:32.6。これは当時の府中1600レコードのコンマ2秒差だった。新設レースなので、もちろんレースレコードタイムなんだけど、この時期の4歳馬(現3歳馬)がこんな時計で勝つとか、正直意味がわからなかったよね。まぁ、タイキフォーチュンはここがピークだったわけだけど、一番人気で負けたファビラスラフインはその後立ち直って、やはり新設G1だった秋華賞を勝ち、次走JCでは古馬相手に2着と、実力を示したのだった。そしてこのレース、当時未成年だったはずの某競馬ファンが、タイキフォーチュンツクバシンフォニー、ゼネラリスト、スギノハヤカゼ馬連ボックス馬券を買って的中だった模様。その後20年以上競馬を続けてきて、未だにこれを超える会心の予想をしたことがないとかなんとか…。

2004年有馬記念

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有馬記念のレコードは、少しずつ更新されてきた印象があったのだけど、この年、秋の古馬G1戦線で飛ぶ鳥を落とす勢いだったゼンノロブロイが、締めくくりとなる有馬記念も勝利。ついに2分30秒台の壁を超える2:29.5での決着。このレコードタイムは今も破られていないし、ここ数年は2分31秒台ですら珍しいくらいなので、この先も簡単には破られない金字塔なのかもしれない。

2006年天皇賞・春

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当時圧倒的な存在だったディープインパクト。死角らしい死角が見つからない、現代サラブレッドの粋とも言えそうな競走成績を残しつつ、三冠達成後の有馬記念ではハーツクライの後塵を拝することになった。ひょっとすると長距離適性はそこまでではないのか?と思わせておきながら、翌年の阪神大賞典を圧勝。そして挑んだ天皇賞・春でみせた圧倒的なパフォーマンス。普通、あんなロングスパートをかけたら最後まで持たないよ、という仕掛け方なのに、直線では後続を突き放す一方だもんな…強すぎる。そして従来のレコードを1秒更新。ディープインパクトのレースは後方一気が鮮やかすぎて何度も鳥肌が立つ思いをしたけれど、レコード更新を伴うことでより印象が際立ったよね。もちろん、このレコードが破られることになった去年のキタサンブラックのレースも、いったい何が起こったんだ…!?と思うことになったわけだが。

2008年天皇賞・秋

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青嶋達也絶叫!じゃなくて、ウオッカVSダイワスカーレットの名勝負となった天皇賞・秋。一度は抜かれたかにみえたダイワスカーレットの粘り腰、得意の府中で差し脚を伸ばすウオッカの極限の争い。そして更新されるレコードタイム。もうね、こんなシチュエーションで鳥肌たたないわけがないのです。

2011年天皇賞・秋

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実況を聴いていて耳に入ってくる、「1000メートルは56.5、これは速い!」という時点で、あ、これはヤヴァいやつだと思ったよね。ゴール前、トーセンジョーダンダークシャドウが死力を尽くしている中、最後の最後で突っ込んでくるペルーサペルーサ!!そして生まれる1:56:1という驚異的なレコード。昨日の2400メートルレコードも当分破られないと思うけど、この2000メートルレコードもちょっとやそっとのことでは破られないタイムだよなぁ。

2017年中山大障害

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歴史的名勝負となった去年の中山大障害。このレースについてはこのブログでも書いているので今回は触れない。最後の直線でマッチレースとなった結果、1991年から不滅だったシンボリモントルーのレコードを1秒以上更新する大レコードに。

2018年中山グランドジャンプ

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オジュウチョウサン伝説は終わらない。前回マッチレースとなった相手、アップトゥデイトに大逃げを許すと何が起こるかわからない。なので、今回は常にアップトゥデイトにプレッシャーをかけ続けるため、前目前目の競馬を意識した挙げ句、四角で早々に先頭に立ち、その後は独走、独壇場に。その結果、従来のレコードを3秒6も更新する大レコードとなったのだった。長距離戦はそもそもレース数が少ないこともあってか、レコードが一気に更新されることがあるんだけど、それでも3秒以上一気に更新とか、さすがにやりすぎというか反則というか、意味不明というか…。これはコースが変わらないかぎり不滅のレコードになったりしてね。

と、8レースほど触れてみた。こうやって振り返ってみると、偉大なレコードには強力なペースメーカーの存在が大きいことがよくわかる*1。ペースを引っ張る馬が緩みのないレースを演出して、強い馬が終盤を締めくくることで大レコードが生まれる。まぁ、当たり前っちゃぁ当たり前のことなんだけどw

それにしても、である。自分が競馬を観るようになってから20年ちょっとの間でも、レコードタイムがずいぶんと更新されてきたんだよなーなんてことも今更ながら思った。この先、サラブレッドはどこまで速くなるんだろう*2。10年後、20年後には、このレコードタイムはどうなっているだろうか。もっと更新されているんだろうか?それともどこかで頭打ちになってるだろうか?なんてことをつらつら思いながら、こんな駄文を書き散らしていたのであった…。

ちなみに、その他のG1レースやコース別のレコードタイムJRAのサイトでいつでも確認できる。

レコード一覧を眺めてみると、G1でも全然記憶に残ってないレースもあるんだけど、なんとなく記憶が呼び起こされたり、改めてレースの動画を探してみたくなったりして、みていて飽きないのが楽しかったりする。

*1:そうでもないレースも結構あるけどw

*2:もちろんこの「速さ」には、サラブレッドが生まれ持ったフィジカルだけじゃなくて、育成・調教技術や競馬場の馬場コンディションの進歩も影響があるだろう。