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実写版キングダムを鑑賞した

原作の実写化として評判が悪くなさげだったので自分も鑑賞してみた。キャスティングはほぼほぼ完璧で、脚本も順番に多少の入れ替えがあってもほぼ原作に忠実で、原作への高いリスペクトがうかがえた。で、アクションにもVFXにもしっかり力を入れていて*1、アクション大作の邦画としてかなりクオリティが高いのでは、と思った。

ただ、どうしてもこの映画にのめり込むことができなかったのは、一応主人公の信にまったく感情移入ができなかったからだ。全編、イキったあんちゃんがどなりっぱなしなんだよね…、熱血漢少年というよりは。これ、映画の鑑賞中は、演出の問題なのかなぁと思ったのだけど、帰宅後に改めて漫画を5巻まで読み返してみたら*2、信のセリフの吹き出しがほとんど叫んでいる風になっていて、あれはあれで原作を忠実に再現した結果ではあるんだよな。熱血漢少年とイキったあんちゃんの境目はどこなんだろうか?演技や演出の問題なのだろうか?なんて考え始めると、行き着く先は結局好みの問題なのでは?となって、今回は自分の好みではなかっただけなのかもしれない。

漫画や小説を実写化するにあたり、原作を読んで自分が思い描いたイメージと実写動画の乖離が大きければ大きいほど、ネガティブな感想になってしまうのは避けられない。ただ、映像面においては、技術の進化のおかげか、よほどチープか奇抜でない限り、最近はそこまでがっかりすることはないようにも思う。となると、影響が大きいのはセリフ回しなのかもしれない。漫画や小説の場合、どんなに絶叫してるようなシーンでも、自分にとってほどよいボリュームに脳内変換されて読み進めるので耳障りになることがないのに対して、映画の場合はリアルな声量で表現せざるを得ない。それが今回のキングダムでは、自分にとってマイナスに働いたような気もする。少なくとも原作漫画を読んでいて、信にたいしてイライラすることは皆無なんだよなぁ。

よくよく考えてみると、原作のある映画で自分に合わないケースは、おおよそセリフの演技だったり音響の問題だったりするのでは…?という気もしてきた。これはこれで一つの発見である。

そんなわけで、出番の多い信がずっとどなっている演技・演出が、とことん自分には合わなかったせいで、作品自体の感想もそこに引きずられてしまった感は否めない。とはいえ、今作の実質上の主人公とも言える政は完璧だったし、脇を固める俳優たちも素晴らしかった。特に王騎将軍にはびびった。あの役、他の俳優じゃあそこまで再現できなかったんじゃね?顔芸やセリフもそうだし、鉾を振り回して周りの兵士が吹き飛ぶシーンもケレン味たっぷりで、そうそう、俺はこういうシーンを沢山みたかったんだよ!なんて思った。

原作漫画が本当に盛り上がってくるのはこの先だということを考えると、映画の続編が作られるとなったらより面白くなる可能性も高いとは思うのだけど、主人公がこのままだと続きも観るかどうかはあやしいところ。まぁ、なんだかんだと観に行ってしまいそうではあるけどさ。

*1:予算の関係なのか時々手抜きを感じられることはあったけど

*2:今回の映画化がここまでなので